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水 沢 有 美

水 沢 有 美

水沢有美さんと<青春学園シリーズ>第10回

水沢有美さんと<青春学園シリーズ>第10回
第一部:夏木陽介主演『青春とはなんだ』(9)
降板か?水沢有美さん!退場した佑子~『青春とはなんだ』第34話「太陽と青春」、第35話「夏山賛歌」篇~
 

 さあ、皆さん大変なことが起きました。第30話以降無欠席で登場していた水沢有美さんですが、息切れして降板する目に遇ってしまいました。今回は途中降板することになる第34話「太陽と青春」(1966年8月21日放映)と完全降板した第35話「夏山賛歌」(9月4日放送)を取り上げます。監督は両作とも高瀬昌弘さんです。つまり蓼科高原ロケでの2本撮りだったのでしょう。なお、ロケ協力の親湯ホテルは、蓼科高原にある老舗旅館で創業は1927年、JR茅野駅からバスやタクシーで約30分の場所にあります。では、まず第34話の梗概から述べておきましょう。

 蓼科高原のキャンプ場に夏合宿を張ることになったラグビー部。第32話「エレキで助けろ」のラストで、校門前の会話で久保と寺田が勝子から海水浴に誘われた際に語っていた山での合宿が行なわれることになったのです。実は、海水浴に行ったと思われていた勝子ら女生徒たちも永井先生を誘ってこの蓼科高原のホテルにやってきたのです。ラグビー部員たちをどうやって驚かせようかと策を練る女生徒たち。あきれながらも女生徒たちを笑顔で見つめる永井先生がいるのでしたが、変ないきさつから野々村先生と大喧嘩することになるのでした。

 脚本は、この『青春とはなんだ』では2本目となる倉本聡(全3本執筆、他は第27話「逃げた連休」と第37話「あの標的を狙え」)でした。
 サブタイトルでの、キャスティング・ボードを見てみましょう。

1枚目 夏木陽介
2枚目 藤山陽子
3枚目 豊浦美子、岡田可愛、土田早苗
4枚目 木村豊幸、矢野間啓治、大沢健三郎
5枚目 関戸純方、柴田昌宏、松浦忠
6枚目 木下陽夫、石高高志、水沢有美
7枚目 木浪茂、関富士夫、松田八十栄、遠山智英子
8枚目 逗子とんぼ、うえづ・みのる、佐藤功一

 3枚目に久しぶりの旧三人娘の一角、樋口郁子役の土田早苗さんが第18話「制服の日誌」以来の登場です。すでに紹介済みですが、第18話は水沢有美さんの初登場話ですね。ですから水沢有美さんは土田早苗さんとは、それ以来の共演となります。新旧三人目、娘の対面です(笑)。さて、当の水沢有美さんは、6枚目にラグビー部員と一緒で、女生徒レギュラーの松田八十栄、遠山智英子のお二人とは7枚目と別れています。なにかある予感を感じさせますね(ホントかよ!)。

 では、水沢有美さんの登場場面を追ってみましょう。今回は全46場面中7場面に登場ですが、前半で姿を消します。中盤にも出てもよかったのですが、出てきません(笑)。

第1場面(#4)蓼科高原のホテル前
 永井先生と女生徒たち6人(豊浦美子、藤山陽子、土田早苗、水沢有美、松田八十栄、遠山智英子)が歩いてホテル前まで来る。ホテルを見つけてはしゃぐ女生徒たち。

第2場面(#5)ホテル内。
 ホテルへ到着して周りの風景に感嘆の声をあげる女生徒たち。佑子も「いいわね~」とうれしそうな声をあげる。さっそくラグビー部の連中をどう驚かすか相談する女生徒たち。あきれながらも笑顔でながめている永井先生。このシーンをダイジェストで採録してみます。

 外を眺めていた一行は、ホテル内へ戻りながら話し出す。
永井先生(藤山陽子) 「でも、みんなびっくりするでしょうね」
順子(豊浦美子) 「感激するわよね。これだけ美人が…」
幸子(遠山智英子) 「まとめて来るとは思わないわよね」
満子(松田八十栄) 「どういう驚かし方する?」
佑子(水沢有美) 「うーん、こっそり天幕に隠れているってのは、どう?」
郁子(土田早苗) 「それとも…。うん、彼らが練習している間においしい夕ご飯作っておいてあげるの」
勝子(岡田可愛) 「うわあ、ずうずうしい」
順子 「それより夜中に髪の毛なんかたらしてさ、テント覗くのよ。(幽霊のような格好をしてみせながら)こうやって、こんな風に」
 順子の迫真の演技に思わずキャーと声を上げる一同。
幸子 「気絶しちゃうわよ」
満子 「寺田君だって手塚君だってよ」
佑子 「全然強そうなこと言っているけれども意外とダメなんだから」
勝子 「ダメダメ」
 一同、大笑い。
満子 「野々村先生はどうかしら」
幸子 「どうかしら」
順子 「ねえ」
佑子 「意外と…」
勝子 「気絶するかも」
 再び一同、大爆笑。実に楽しそうである。永井先生も笑いながら釘をさすことも忘れない。
永井先生 「あなたたち、驚かすのはいいけどここに来た目的はあくまでラグビー部の合宿を激励するためよ。いいわね」
女生徒たち 「ハーイ」
 この後、ホテルの支配人からラグビーの合宿場所を教えてもらう。だが、支配人に口止めすることも忘れない。
満子 「でも、私たちが来たことは、しばらくナイショよ」
佑子 「こっそり驚かしてやるんだから、(満子と)ねえ」
支配人(逗子とんぼ) 「ようございます。さっそくバンガローの方にご案内いたします」

第3場面(#9)湖。
 一人つりをしている手塚(柴田昌宏)。ゆったりと一艘の舟が流れてくる。怪訝そうに見つめる手塚。髪をたらしてうつむいている勝子がゆったりと顔をあげる。葦に隠れている佑子たち5人。満子がお経を呟きながら鐘を鳴らすと飛び上がって逃げだす手塚。この場面以前にも久保と寺田も驚かされています。どうやら順子の提案が採用されたようです。

第4場面(#11)バンガロー前。
 永井先生を囲んで成果を笑いながら報告する女生徒たち。永井先生の提案で、そろそろ驚かすのはやめてラグビー部に挨拶に行くことになる。

第5場面(#15)キャンプ場。
 ドラム缶風呂に一人で入っていた野々村先生を囲んで歓声をあげている永井先生と女生徒たち。風呂から出るのに出られずに弱っている野々村先生。ラグビー部の連中も歓声を聞きつけてやってくる。ラグビー部一同に挨拶する女生徒たち「皆さん、こんにちは」。

第6場面(#16)キャンプ場、木のそば。
 ラグビー部の連中と歓談している女生徒たち。勝子の「私のさっきのオバケ怖かったでしょう」という一言からわきアイアイの雰囲気になる。一人がギター、トランペット、アコーディオンを持ってくる。このシーン何故か土田早苗さんは映っていません。女生徒は水沢有美さんも含めて5人でした。もしかしたら土田早苗さんがロケを終え、帰ってしまってから撮り直しがされたのでしょうか? いわば、繋がっていないのですが、セミロングで撮影されているので、このように水沢有美さんの出演場面を気にして見なければ、そうとは気がつきませんでした。ただ、このシーンは問題ないのですが、次の#18でも土田早苗さんは途中まで不在で、最後の方に急に出てくるので、繋がっていないのが気になってしまいました。

第7場面(#18)#16と同じ場所。
 アコーディオンやギターなどの演奏(「若い明日」)で踊る佑子と久保。このシーンでの水沢有美さんの踊りは中々見ものです。一見の価値はありますよ。しかし、何故、水沢有美さんが踊ることになったのでしょう。普通、こういうシーンでは岡田可愛さん扮する勝子が踊りそうなものなのですが、監督が高瀬昌弘さんだったからでしょうか? 『青春とはなんだ』第18話「制服の日誌」初登場以来、一連の高瀬昌弘監督作品を眺めていると水沢有美さんは高瀬昌弘監督の秘蔵っ子的な扱いをされているような気がします。まあ、水沢有美さんを中心に見ているからこういった印象を受けるかもしれませんが。しかし、勝子ではいけない訳がすぐわかります。
 さて、皆の拍手と共に楽しそうに踊っていた佑子ですが、余計なお世話に来たと永井先生と喧嘩してしまった野々村先生が怒鳴り込んできて一同は解散させられます。理不尽な扱いだと怒ってホテルに戻ろうとする永井先生たち。しかし、勝子が佑子の異変に気づきます。うずくまっている佑子にかけより声をかける永井先生「どうしたの」、佑子「先生、急にお腹が痛くなっちゃって」。心配する野々村先生を後に佑子を連れて帰る永井先生たち。
 というわけで、水沢有美さんは、これにて途中降板となります。この後、ふもとの町の茅野外科病院に盲腸で入院、手術することになります。病院でのシーンもいくつかあるのですが、野々村先生と永井先生の2人しか出てきません。病院に泊まり込む2人ですが、何故か病室にいる佑子は登場しません。

 #19から最後の#46まで水沢有美さんが不在なので、簡単にこの第34話のストーリーを述べておきます。先生2人が戻れずにキャンプ場では生徒たちだけが残って夜を過ごすことになります。その間、警官がやってきてキャンプ場荒らしの泥棒が出現しているがわかります。女生徒たちと喧嘩別れしたラグビー部と無銭飲食してホテルで居残りアルバイトしていた東京東高校のラグビー部員3人らが、女生徒をめぐってにらみ合ってぶつかったりしますが、仲直りして先生たちの帰りを待つことになります。順子が馬に乗っていて暴走するシーンがあり、夏木陽介さんの見事な乗馬ぶりが見られます。
何とか野々村先生と永井先生を仲直りさせようとキャンプ・ファイヤーの後、先生2人を幌馬車に乗せるのでした。闇夜に松明の火だけで湖の周りを走る幌馬車は実に幻想的です。その雰囲気の中、自然と打ち解ける野々村先生と永井先生でした。

 以上で、第34話「太陽と青春」は終わりです。佑子は盲腸で入院してしまいました。その次の第35話「夏山賛歌」は、同じく蓼科高原でのロケが続きますが、水沢有美さんの登場はありません。しかし、サブタイトルでのキャスティング・ボードでは水沢有美さんの名前が見えるのです。

1枚目 夏木陽介
2枚目 藤山陽子
3枚目 豊浦美子、岡田可愛、土田早苗
4枚目 木村豊幸、矢野間啓治、杉本哲章
5枚目 大沢健三郎、柴田昌宏、関戸純方
6枚目 石高高志、木下陽夫、松浦忠
7枚目 松田八十栄、水沢有美、遠山智英子
8枚目 松山照夫、今村原兵、佐藤功一、逗子とんぼ
9枚目 佐田豊、稲垣昭三、増田順司
10枚目 賀原夏子、成瀬昌彦

 7枚目に名前が見えるのですが、ラグビー部の合宿終了後も永井先生共々蓼科高原に残ることになった女生徒たちは、入院した佑子以外の5人(豊浦美子、岡田可愛、土田早苗、松田八十栄、遠山智英子)です。水沢有美さんの名前が見えるということは、シナリオ段階で佑子の登場シーンはあったのでしょうか。あるいは撮影されてもカットされてしまったのかも知れません。夏休み中の話である次回の第36話「泣き虫健介」で、入院していたととても思えない佑子が、走り駆け回るので、何らかの形で元気になりそうなシーンがあったのか、あるいは第34話の倉本聡が佑子を入院させたことを知らずに第35話の脚本家である田波靖男が元気な佑子を登場させていたのでしょうか? 話の流れでは佑子の第35話での登場は考えられませんから素朴な疑問として提出しておきましょう。
 
 というわけで、今回はおしまいです。次回は第36話「泣き虫健介」です。



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